つい、TVでかかっているブリジットジョーンズの日記を見てしまう。
どうがんばっても天然にあほなところ、当たって砕けてしまうところが他人事とは思えない。
実家を出て以来、つまり20年ぶりぐらいで井上ひさしを読む。「一週間」。うちの父上は東北の出身で、若かりし頃に戯曲を書いたりもしていたから、かの作家さんが好きで、小説は実家に山ほど転がっていた。最近亡くなったと聞いたら、なんだか懐かしくなった。
生きている人の言葉より、もうこの世にいない人の言葉のほうが、より確からしく聞こえるのはどうしてだろう。最近の文芸春秋に掲載された「絶筆ノート」の中で、井上さんが自分の書いてきた言葉に責任を取りたい、と語っていたのを思い出した。
シャガールを見に行く。ここにもカンディンスキーの風景画が数点展示されている。ドキュメンタリー映像は全部は見なかったが、アンドレ・マルローはシャガールをして「腹に響く」と言ったらしい。あの赤であり、青であり、黄色であり、あの曲線が、たしかに身体の内側に響いてくる。展示の最後にあったイカロスの墜落の前でしばし佇む。たとえ墜落したとしても、高く飛べて、イカロスは幸せだったんじゃないだろうか、と、あのシャガール特有の、抑揚のない表情を眺めながら思う。
世の敗者および永遠の未熟者に幸あれ。