2010/04/03

昨日今日あたりのこと

金曜夜。社内飲み会をパスして高橋悠治のコンサートに行く。欠席理由に「はあ、コンサートに行くので」と言うと、「どこで、だれの、」と細かいことまで尋ねるおじさんがいる。すいません、定時を過ぎたら、コンサートのほうが大事なので。高橋さんには、初めはトークから入った。次に書いたもの、そしてやっとCDまでたどり着いてはいたが、生演奏を聴くのははじめて。クラシックやジャズなんかとは違って、現代音楽系の音楽家には、こういうルートからの入り方が多い。曲や作曲家について、語ってから弾く、というスタイル。アンコールはサティ。
土曜。遅めの昼にパンケーキにメープルシロップをたんまりかけて食し、元気を出す。こないだも行ったのに、またカラオケを歌って、元気を出す。今日は渡辺美里のMy Revolutionがメイン。池袋に行って、服を買って元気を出す。夜、ジュンク堂。はじめて、生の北村薫先生トーク。覆面作家といわれていたのはずいぶん昔のような気もするし、体調も万全ではなさそうなのも理由の一つなのか、インフル用か花粉用のごついマスクをして登場される。覆面ならぬマスクを外した先生は、穏やかに話し、まあるく笑う。作品から連想するのと重なるお人柄でいらして、よかった、と思う。1時間半はあっという間にすぎてしまった。新書本にサインをいただく。猫のイラストが付いている。先生の笑顔に似て猫も笑っている。こういう瞬間が、しあわせである。
この年にして、文学部のくせに、いわゆる名作と言われているもので未読にしているものが多すぎる。われながらひどいと思う。今にして思えば高い授業料は捨てたも同然である。学生時代はちっともひどいと思わなかったのだから恩知らず娘である。反省も遅かりしではあるが、しないよりましかもしれない。「忘れられない箇所がたくさんある」とおっしゃっていた『アンナ・カレーニナ』を、せっかくの機会だからと読むことにして、買って帰る。イギリス現代小説は、まあ若干興味がないこともないが、やけに面白そうに見えた新刊の棚にあった『ベイツ教授の受難』もついでに買う。トルストイへの無意識の拒否感からだろうか。「迷える中高年必読、英国コミックノヴェルの至宝」というオビに引っ張られてしまうなんて、ひどいんじゃないかしら。まだ38歳なんだけど。帰り道、店の看板に「ひざまくらと耳かき」というメニューが出ていうのを見る。女性の膝枕を望む男性諸氏の気持ちはわからんでもないが、耳かきを他人にされたいという人間の気持ちがわからない。たとえ綿棒であったとしても、他人にあれを耳に突っ込まれるかと思うと恐怖である。看板の写真には、ちゃんと「さじ」のついた、いわゆる耳かきが映っていた。うわあ、こわい、こわい。。
おっと、いよいよ小沼先生ご登場の坂本龍一の音楽番組がはじまるぞ。ふふ、見逃せませんね。