2016/06/19
記憶
NHKでストレスの話をやっていた。
Mind wonderingといって、脳が目の前のこと以外のことを考えている時間は約47%だという。
コーピングといって、質より量のストレス軽減法を100個ほど書きとめておき、こまめに実行することや、マインドフルネスといって呼吸に意識を集中して瞑想することなどが効果があるそうだ。
ちょうど宅急便で届いた長田弘を読んでいたけれど、そのものずばりという感じで驚く。
「記憶というのは、「覚えている」ということではなく、「自ら見つけだす」ということです。というのも、すべてを覚えていることはできないために、人の記憶は本質的に不完全であり、そのために記憶と言うのは、断片、かけらを集める、そしてまとめることだからです。記憶は心に結ばれる像の、イメージの倉庫でした。(中略)
記憶は、言いかえれば、自分の心の中に自分で書き込むという行為です。驚きを書き込む。悲しみを書き込む。喜びを書き込む。そうやって、自分でつくりあげるのが、記憶です。(中略)
記憶は、過去のものではない。それは、すでに過ぎ去ったもののことではなく、むしろ過ぎ去らなかったもののことだ。とどまるのが記憶であり、じぶんのうちに確かにとどまって、じぶんの土壌となってきたものは、記憶だ。(中略)
じぶんの記憶をよく耕すこと。その記憶の底にそだってゆくものが、人生とよばれるものなのだと思う。」長田弘「なつかしい時間」収載、「記憶を育てる」より