どうも呼吸がしづらいことがよくあるんだけれども、今日ストレッチのクラスに出ていて、肋間筋のストレッチをすると呼吸がずいぶん楽になることに気づく。
前から聞いていたんだけれども、その時はストレッチの仕方が今一つだったのか、おのれの肋間筋が硬すぎて開かなかったのか分からないが、なにしろはじめての実感。
簡単に言えば、要は脇腹を伸ばして収縮した肋間筋を広げればいいわけだけど、調べればいろいろと方法が出てくる。
女子はただでさえ胸があるから背中が曲がりがちだし、デスクワークするひとや心配ごとを抱えているひとも肋間筋が収縮しがち。
うーんと脇腹を伸ばして深呼吸するだけで、けっこう楽になる。
長田弘に「深呼吸の必要」という詩集があった。
たしか持っていたはずだと書棚を探すけれど見当たらず、同じ作者の「すべてきみに宛てた手紙」を開いてみる。
1ページ目に「すぐに呼吸がくるしくなって、どうしても全力で走れずに、走るのをやめ、」というくだりを見つけて、あなたもだったんですね、と友を得たような気持ちになる。
そして最後にこう結ぶ。
「ひとの人生は、やめたこと、やめざるをえなかったこと、やめなければならなかったこと、わすれてしまったことでできています。わたしはついでに、やめたこと、わすれたことを後悔するということも、やめてしまいました。
煙草は、二十五年喫みつづけて、やめた。結局、やめなかったことが、わたしの人生の仕事になりました。―読むこと、聴くこと、そして、書くこと。
物事のはじまりは、いつでも瓦礫のなかにあります。やめたこと、やめざるをえなかったこと、やめなければならなかったこと、わすれてしまったことの、そのあとに、それでもそこに、なおのこるもののなかに。」(長田弘「すべてきみに宛てた手紙」)
瓦礫のなかにあることを喜ばなければいけないんだろう。
そこに、なおのこるものがきっとあるから。