2010/03/19

Secure base

ずいぶん前の彼氏と付き合いはじめの頃、相手にブログをやっている、と教えてしまったのは、今にしてみると、あれは、まずい手だった、と思う。オンナ心というのは、惚れた相手には自分を知ってほしいと思ってしまう傾向があるらしい。でも悲しいかな、いわゆる「ときめき」なるものは、いわく、もっと知りたい、という欲求が存在するから上昇するのであって、相手をだいたい掴んでしまったあたりから、下降線に入るといわれているからである。

出来の悪い恋愛小説なんかより余程、じん、ときてしまう、穂村弘の『もしもし、運命の人ですか。』によれば、ときめきを延長させるには相手に自分の情報を極力与えないこと、すなわち究極のアイデアとしては、連れ添って50年目になって、「君の名前を教えてよ」「ちか」「ちか、、いい名だ、ぼくはまさる」と手を取り合って死にゆくのがいいんじゃないか、なんて書いてあって、非現実的ではあるけれど一理はある、と思ったりもするのだ。

誰が見ているか分からないんだから、こんなところに、子供じゃないんだし、ありのままを書かなければよかろう、という向きもありましょう。そうね、そうです、確かに。ええ、たまに嘘も書きますし、創作もあります、はい。しかしねえ、プロの物書きでもないし、これって出発点としては日記なわけで(最初によそのブログで始めた当初は、てまりの日記、なんていう、やたら素朴な題名だったんだから)。こうしてくだらないあれこれを綴っておくことで、いくばくかの安らぎを得るためにものしているのであって、100%心にもないことを書く、なんぞという高度な芸当は、わたしにはできないんですよね。ここは一種の安全基地。だから、ね、どうか、やさしく見守っていてください。