カラオケ

社員旅行の宴席で、上司がカラオケを歌うからバックコーラスをしなさい、という。
はいはい、と引き受けたものの、今までの短くもない人生で初めて聴く曲で、メロディーも、さっぱり覚えられない。
旅行の日取りも迫ってきた。カラオケボックスに入る。むろん上司のためにバックコーラスを練習するのである。われながら、いい部下だと思う。
リモコンを手に取る。あーるしーさくせしょんと入力しようとする。いや、いまわのきよしろうだろうか、と手が止まる。
いま、まで入れて、あー、いま、といえば、いまいみきを一曲、ついでに、いきものがかり、わたなべみさと、まつとうやゆみ、みーしゃも、いってしまえ。
結局、目的の曲を練習できずに「お時間」コールが鳴る。

ワタクシのルーツ

会社で、コピー機のトレイに大量に溜まったプリントアウトから自分の分を取ろうとした拍子に「それ、ワタクシのです」と言ったら、居合わせた若い女子が随分と驚いた顔をした。「ワタクシだって（笑）」てな調子。どうやら、会社で「ワタクシ」はミスマッチであるらしい。以来なるべく使わないようにはしているのだが、たまに、ひょいと出る。いったい、どこで習い覚えたんだろう、と気にするともなく気になっていた。
正月、実家に帰る。今朝は父が納豆餅を作った。焼いておいた餅を、大根おろし、納豆に薬味と出汁を入れて混ぜたものに浸すだけの話だが、なかなか美味しい。それが膳に乗った。狭いテーブルの上に納豆餅の皿が3皿。
父は何気なく右側に置いた自分の皿を忘れて左側にある母のを取ろうとした。すると母、「それ、ワタクシのです」。
意外なところでルーツを発見。