2018/07/31

たぶんにやにやしている

ダンスを始めたのはたぶん2年半前ぐらいだと思う。
ジムに通い始めた当初はマシンで走っていただけだったけれど、根気がなくて15分もすると飽きてしまうから、スタジオに入ったら45分は強制的に動き続けられる「レッスン」なるものに出てみようと思った。
たまたまその時に目にしたのがマーシャルで、インストラクターさんや生徒さんたちのすてきな姿に刺激されて、その後4年ぐらいはマーシャル一筋だった。移り気なものの凝り性でもあるので、形の良いキックやパンチを打てるように筋トレや柔軟性を養うためのレッスンにも出た。マーシャルは背中も使うので、おかげで猫背もかなり解消された。
そろそろ何かほかのレッスンに出たいなあとレッスンの待ち時間に物色していたときに、たまたまダンスのレッスンに入ってみる気になった。
ダンスなんてしたことがあるはずもなく、見るのも特に好んでいたわけでもない。
コンテンポラリーのバレエぐらいは見たことがあったけれど、誰のだったか記憶になかったぐらいだ(最近になって、ぺジャール振付のボレロだったことをグーグル様が教えてくれた)。
たまたま入ったそのレッスンは、3ヵ月続く振付けの3ヵ月目だったので、結果見るも無残なことになったのだけれど、ふしぎと、もう一度、と思った。
振付を覚えるのが難しくて、最初はメモ帳に人型を書いて動きを記帳していたが、往々にして記憶が途中で脱落していたり間違っていたりする。そのうちDVDが出ているのを知って、お手軽な手段に乗り換えた。そのうち、DVDがなくても覚えられるようになった。
週に1回やっていただけではさっぱり上達しないので、いろんな先生のレッスンに出ることにした。ジムの利点は、いろんな先生のレッスンに出られるところだ。先生によって振付にも傾向があるので、基礎は同じだがいろいろな動きを覚えられる。そして今に至る。

あと何年踊れるだろう、とときどき思う。
10年はないな。せいぜい5年かしら。
練習したら少しはましになると思えなくなったら、きっと太極拳とかに移行するだろうな(それも太極拳に失礼か...)。
だから今はできる限り、踊っておこうと思う。

朝ドラで、秋風塾の同期3人組が良いことを言っている(録画を見ている)。
「人生で、あのときああしておけばよかったって後悔することがあるっていうでしょ。
でもわたしもすずめもそういうのないんだよね。ちゃんと挑戦して、漫画の神様におまえじゃだめだって言われた。プライドずたずた、傷つく、へこむ。でもそれが生きるってことじゃない。
傷つくのこわいけど、お前じゃだめだっていわれるのこわいけど、ほしいものに手をのばすってことが生きるってことじゃない。だめだって分かるのに9年かかっちゃった。でもそれでよかったんだよね。何もしないよりぜんぜんよかった。それがあって今がある。生きれば生きるほどタフになる。(大意)」

レッスンで、先生が踊ってくれることがある。
仏頂面に定評があるわたしだけれど、先生たちが本気で踊っているのを見ていると、次第に口角がゆるんでくるのが自分でもわかる。
たとえば、シルヴィ・ギエムの動画を見ていたとして、そりゃあすばらしいと思うんだけど、画面を見ながらにやにやしたりしない。
なぜかわからないけれども、目の前で、生身の先生が踊ってるのを見ると、笑顔になる。なんでだろうね。
ひとつには、たぶん、それまで教師の顔だった人が踊り手の顔に変わったことに心が動くんだろうな。振付覚えるのはわたしにはけっこうたいへんなんだけど、先生の美しい動線からその本気度の波動みたいなものが伝わってくると、それまでの苦労がひととき報われる。
先生たち、いつもすてきな振付作ってくれてありがとう。
なかなか上達しない生徒を見守ってくれてありがとう。
そんなことを思いつつ、今は踊っている。