2016/05/31

鸚鵡

ジュリアン・バーンズを最初に読んだのは「フロベールの鸚鵡」だったことだけは覚えていたけれど、内容はまるで忘れてしまった。洋書を少し読めるようになってから、喜んでバーンズを買ったけれど、シニカルで緻密な表現が多いせいか、いつも、ああ理解できてないな、という読後感が残った。
それでも新作が出れば読んできた程度に好きなわけで、それは自分で、たとえば書店でたまたま手にとって出会ったような出会い方をした本だと思っていた。
最近、実家から持ち帰った北村薫の「秋の花」を読み返していたら、その題名が出てきて、少し驚いたような、ああやっぱりというような、不思議な気持ちになった。
自分の力で手にしたと思っているものの殆どは、実は遠巻きな周囲からのいわばお手回し、みたいなものだと、ときに気づく。
外からの力にあえて抗わずに巻き込まれていくことで、得るものもきっとある。自ら求めたものではない緩いつながりの中に思わぬ拾いものとの出会いがあったりもする。そんな見えざる力に感謝して生きられるひとは素敵だ。生来人見知りの自分は、ずいぶん損をしているに違いない。
さて。いま、「鸚鵡」をたのんでみたところ。このところ、昔読んだ本ばかり読んでいる。

こわいこわい

最近のコインランドリーは便利で、ブラシ付きの洗濯槽にシューズをごろんと入れておくと勝手に洗剤を投入して洗ってくれる。
ランドリーに寄って整体に行き、帰りがけにまた寄ると、もう洗い終わってはいるんだけど、ここでもうひと手間かけて20分乾燥機にかけておくと乾くのが早い。幸い読みかけの文庫本もある。
営業時間10時半まで、と入口のガラス戸に書いてあったのは覚えていたが、もう一人乾燥機を回している人がいるし、本も終わりまであと10ページだったから、誰かが閉めにくるまで読んでいよう、と腰かけて読み続けていた。
10分ほど経っただろうか。
突如室内の電気が消えて、ういーんと回っていた乾燥機も止まった。
びっくり、どころの話ではない。
自分のどこにこんな敏捷性があったのかと思うぐらいの勢いで手提げと本を掴んで店を飛び出すと、若めの男女二人連れがそこに立っていて、すみません、と頭を下げた。
かろうじて乾燥機の中のお気に入りシューズを取り出し、いえいえ、もごもご、、とつぶやいて去る。
しばらく歩いたところで、一昨日買ったばかりの折りたたみ傘を机の上に忘れてきたことに気が付いた。
あの二人連れがまだいるかしら、と思って戻ってみたが、明かりは消えたままでガラス戸も開かなかった。
見ると「10時半を過ぎると、中からは出られますが、もう一度入ることはできません」と書いてある。
その言葉も、やっぱり、こわい。



2016/05/28

踊る踊る

金曜、珍しく夜のレッスンに出ず早く帰宅。
忘れないようにカレンダーに書いてあったのに、ネコ歩きの録画を忘れたことに気づく。
いまオンデマンドで見ているが、やはりPCだと画質も悪いしタダで何度も見られない。あーあ。
さて、フィットネスクラブに入って、もう5年3ヵ月経つそうだ。
レッスンに出始めたのはしばらく経ってからだから、マーシャル系はたぶん4年半ほど、ダンスはまだ1年経った程度。
スタジオのレッスンに出てみてはじめて、自分という人間がかなり自意識過剰で、鏡に映る自分の姿ばかり見ていることに気がついた。
うっとりできればいいけど、修正したいところばかり目に付く。
それでも、ダンスも昔に比べればずいぶんマシになった。
まあ、そんな微々たる成長に気付いてくれる人が自分以外にもしいるとすれば、昔の自分を知っているIRさんぐらいだろうけれど。
ダンスなどは特に、振り付けを覚えた後の、いわゆる「踊りこみ」で自分らしい動きのテイストみたいなものが出てくる。そこが面白い。
だから、それぞれ個性的なこだわりを持って教えてくれるインストラクターさんたちが好きで、そういう先生の教えてくれるレッスンに行く。
仕事などはこだわりすぎると周囲に迷惑をかけるけど、趣味はどれだけ細部にこだわろうと自分の勝手。3ヵ月で曲と振りつけがアップデートされるから、その期間でどこまでやるかは当然自己裁量に任されている。
自分を知る誰かにお見せする機会はない。
ただ自分のためだけに踊る。
マーシャルとダンスを続けられる間は、自分の精神衛生はそれなりに保たれるだろうなと思う。
ジムをはしごする合間にお茶しながら、ふと思いついてfacebookを検索していて、自分を含め、女子がプロフィール写真にネコをアップする確率って高いな、と思う。

2016/05/22

満月

母親とは偉大な生きもので、いくつになっても子供が家に帰ると何か食べさせねばならぬと思っている。
めずらしく、今日は夕飯要らない、などと言うと悲しい顔をする。
じゃあ野菜ジュース作るから飲みなさいと、なにがなんでも何か与えないと気が済まない。
ありがたく頂戴する。
ほとんど夕飯を食べたのと同じ満腹感。
最近クロスワードの成績が好調で、2週連続空欄がない。
すごいじゃん、というと、調べることにしたのとおっしゃる。
分からなかったらお父さんに聞く、という長年の習慣が、娘に聞く、に変わり、自分で調べる、に進化した。えらいぞ母上。
長袖のスーツにネクタイをした遺影はなんだか暑そうに見える。
ジムからの帰り、交差点の信号待ちで見上げた先にまんまるの満月。

きっかけ

たまに行くジムに置いてあるマッサージチェアは使用時間15分限定。
めずらしく空いていたので極疲労回復全身コースを選んで腰かける。
いつも踏まれ慣れてしまっている背中には、やわらかすぎる刺激。
先週あたりから、なんだかずいぶんひどい日々だった気がしていたけど、たまたまテレビをつけたら流れていた海街diaryを見ていたら、少し人間的な気持ちが復活してきたのか、こんな自分にもやさしくしてもらったことをいろいろ思い出して、ちょっと泣いた。
こういうことをきちんと覚えておかないといけないのだけれど、きっかけがないと思い出せない。
監督の新作、見に行こうかなあ。

2016/05/17

なぜか

センセイは、なかなか予約の取れない焼肉屋に毎月お友だちと通っていて、お店の壁掛けカレンダーに29と書いてあるから、その日が分かる。
昨日背中を踏まれながら、月に1回の焼肉がいかに楽しみか力説するのを聞いていたせいか、今夜のごはんはカルビ焼肉定食となった。
2日連続19時台の夕飯。
おなかが空いてるときに食べるごはんはおいしい。
昨日の話に戻るけど、背中のあたりは気持ちいい程度で、ふと眠くなるのだが、腰のぐりぐりのあたりにくると、なにしろ痛くて「落ちる」どころではない。
なぜか、いつも行くまでそのことを忘れている。

2016/05/16

まだ遠い

平日の夜7時台に定食とチーズケーキ食べただけでほんのりしあわせを感じる自分は人生に望むものが少なすぎるのかもしれない。
会社で話す人の笑顔はみな清々しく、自分だけご機嫌ななめ。
週末はまだ遠い。
整体の間に眠ってしまわないように喫茶店でアイスコーヒーをちびちび飲む。
でも、やっぱり落ちてしまいそうな気もする。

2016/05/15

おもいでの

歌うおじいさんのことは記録しておかなければいけない。
大崎駅から出て川べりを少し歩いたところに小さな公園がある。突っ切って会社に向かうわけだけど、晴れの日にはほぼ毎朝見かけるおじいさんがいる。公園の縁石に腰掛け、楽譜を顔の前に構えて、歌っている。
側を通るときにしか聞こえないくらいの声なのだが確かに音程はあって、朗読ではなく、なにかさだかではないが、とにかくなにかを歌っている。
おじいさんは歌っていた。平日は朝だけど、休日は昼歌うのか、朝からずっと歌ってるのか。
通りすがったとき、おもいでの、おもいでの、と聞こえた。

2016/05/14

姿勢

今月からスケジュールが変わって出られるようになったレッスンの先生は、バレエの基礎練みたいなことをされるんだけど、立ち姿がお美しいなあ、と思っていたら、
立ってるだけでキレイって言われたいじゃない?とおっしゃった。
やっぱり、普段から意識が違うんだなあ。
品川から帰り道、ホームで思い出しながら、ちょっといい姿勢になってみる。
気持ちも少し、しゃんとする。

降りられるかな

池袋駅でかき揚げそばを食べて湘南新宿ラインで小田原行きに乗る。
ボックス席に腰かけてバッハを聞き始めたら根っこが生えたみたいになる。天気もいいし、このまま終点まで行きたいなり。
さて、はたして大崎で降りられるだろうか。

あこがれの

ストレスフルな一日の終わりに、レッスンで思う存分サイドキック蹴れると、それだけで一日の満足度が上がってしまう単純なわたしでした。
他人と戦いたいとは全然思わないんだけど、飛び蹴り、とか、回し蹴り、とかしたいなあ。
きっとケガするので、しないけど。
空手の人の足の動線ってほんとにきれい。
しばし蹴り系動画を見ながら憧れの瞳。
なぜかその横で、ネコ歩きの録画から岩合さんの声が聞こえている。

2016/05/12

BOT

ツイッターは今のところ家のPCでしか見ないし、やたらフォローしてしまったせいで、あたりまえだけど全部見きれない。
たまたま見た大前研一BOTがいいことを言っていて、そうだよねえと思って一度画面を閉じた。
こんなかんじのことを言っていた、と書こうと思ったんだけど、
すでに頭の中で自分なりのアレンジが加わっていてオリジナルが思いだせない。
たぶん、こんなことだったはずだ。
人生いろいろはずかしいこともあるけど、しまったと気づいた時点でもう一度再起動してやりなおせばいいんだよね。
大事なのは、そのときどき自分が楽しんでるか、とか、自分がやってることに納得してるかってことで。
他人から見てどうかは置いておいて、そういう生き方をしていれば、本人的には、自分らしく生きてる、という満足度が高い結果になる。
とはいえ、現実的に、毎日毎日、満足してる状態をキープするのは難しいかもしれない。
けど、満足度低下してきた段階で、なるべく早めに、というか、こまめに自分自身の満足度をレビューして、必要に応じて方向転換したりリセットしたりして、比較的満足度高い状態にもってく努力が必要だよね。
そういうような言葉だった。
今日は見事に全身筋肉痛。
思い起こせばここ2週間ぐらい筋トレしていなかった。いかんいかん。
恐怖やストレスで簡単にできてしまう血栓を溶かす特効薬は、1本うん十万するそうだけど、その薬に似たる効果は運動の習慣で得られるんだって。
きのうガッテンでやっていた。
録画で、とと姉ちゃんを見ている。
つねこちゃん、けなげでほんとにかわいいねえ。

2016/05/11

パンナコッタ

スタバでフラペチーノにパンナコッタ追加してスタッフさん二人に珍しがられる。
飲みものと思わなければいいなり。

とけるといいな

夕方、オフィスビルの端っこの人目につかないところで一服しながら、
人間って、放置しておけば腐るだけだし、焼いても灰やら骨やら残るのが面倒だと思う。
理想は雪だなあ。
せめて砂糖とか塩とか、水をかければ溶けてなくなるのがいい。

2016/05/08

美しい人たち、泣くな

母の日にかこつけて、少し駅から遠いけれど一度入ってみたかったケーキ屋さんに寄ってフランボワーズとチーズケーキ、ミルフィーユを買う。一つはお隣への土産。
「母の日」と書かれたハート型のチョコレートをサービスしてくれる。
実家の本棚に残してあった北村薫の文庫本を3冊持ち帰る。
帰宅して、文庫の『空飛ぶ馬』を読み始めた。
円紫さんという落語家と主人公が、落語の話をする。
落語家は、「樟脳玉」に出てくる捻兵衛さんという愛妻家と、「夢の酒」で旦那が夢の中でいい女に会ったと聞いて可愛く焼き餅を焼く新妻は、たしかに同じ類の人間ですね、と言う。
その後、主人公は、天守物語の言葉を引いて、
「泣くな泣くな、美しい人たち、泣くな」
そんな気持ちで、あなたはこの落語をやってらっしゃるんでしょう、と言う。
作中に出てくる落語を聞いたことはなかった。
「夢の酒」と「樟脳玉」は探してみるとすぐみつかって、文楽と円生で聞く。
天主物語は読んだことはないが、やはり自分は、泣いてる人の部類には属していなくて、そんな美しい人たちを見ながら、泣くな、と言う役回りだろうと思う。
そのうち読んでみよう。

2016/05/07

足の遅いランナー

北村薫『詩歌の待ち伏せ』を読み返している。
ハリネズミの子供がサボテンを母と感違いする外国のジョークを読んで、また、「猫の子に嗅れているや蝸牛」という句を読んで、クスリと微笑ましく可愛いと思ったというくだり。
可愛いという言葉の定義から、なぜ可愛いのかと考察していく。
最後に、理屈はいくらでもつけられるが、という文章にこう続く。
「この場合、思考は足の遅いランナーです。《はりねずみクン》や《猫クン》を見た瞬間にやってくる微笑みに、追いつくことは出来ません。」
最近、そんなことがあったような気がした。
そのとき自分を襲った感情の波のようなものは、あとからいくら理由づけしようとしても、上手くいかない。
ほんとうに大切なことは記録できない。
だから、「今、ここ」の感覚を大切に。そして、ときどき上手に思いだすこと、という茂木先生の今朝のツイートがふと浮かんだ。

2016/05/05

冒険

ラフォルジュルネ・オジャポンに行く。
なにしろ一回が短くて安いので、ハズレ覚悟で聞いたこと(記憶)がない曲ばかり冒険してみた。
プーランクの七つの歌と 
Francis Poulenc - Sept Chansons - Eric Ericson Chamber Choir  
シェーンベルクの浄められた夜(ピアノ三重奏版)
Arnold Schoenberg - Transfigured Night for String Sextet, Op. 4
が個人的には「当たり」だった。
そしてもちろん、ピエール先生トーク付きのメシアン「鳥のカタログ」を堪能。
譜めくり、すごく難しいんだろうなあ。
待ち時間にロフトに寄る。
オフィスのデスクで盆栽かコケでも育ててみようかという衝動とたたかう。
自室で育てるのは、つい水やりを忘れてすぐに枯らしてしまうので、もとよりあきらめている。
文房具等々、ピエール先生のバッハ平均律クラヴィーア曲集をお買い上げ。

文化的休日のために

普段よくお見かけするひとにblogやってます、とか言うのをやめてかなり久しいので、とりあえずそういうかたたちがこれ読んでるはずないという想定でいる。
つまり、どなたか存じ上げないけど、えらく奇特なかたたちとか、誰に向けるともなく、ほぼ日記として投稿しているわけですが。
今日コンサートに行くのだと話したら、自分も今日は文化的に過ごしたいとおっしゃっていたひとがいた。自分が行くコンサートが文化的かは置いておいて、願わくば、働きすぎのひとの文化的な休日のために。
今日はメシアンを聞きにいくわけだけれども、はて自分はどうしてメシアンを聞くに至ったのか、どうもよく分からない。10年前ぐらいに書いていたものを読めばわかるかもしれないけど、そんな気にもならない。
なんとなく、オルガンっていいよね、って話から、サンサーンスになり
Saint Saëns Symphony No 3 in C minor, Op 78 Järvi  
メシアンといえばオルガンだよね。っていうようなお話を伺って、
Messiaen - L'Ascension, for solo organ
その他いろいろ聞きはじめたのかもしれない。
Olivier Messiaen ‒ Preludes pour Piano


サンサーンスを振っていたひとを最近どこかで見たような気がしていたんだけど、N響のひとだった。レクイエムはモーツァルトもいいけど、フォーレも好き。
GABRIEL FAURE Requiem PAAVO JARVI Orchestre de Paris,Chen Reiss,Matthias Coerne  
マーラーは、ついつい4楽章しか聞かなくなってしまうけど、たまには全部きいてもいいかも。
Mahler: Symphony No. 5 / Gergiev · World Orchestra for Peace · BBC Proms 2010  
グールド
Glenn Gould plays Bach - The Goldberg Variations, BMV 998 (Zenph re-performance)  
Glenn Gould-J.S. Bach-The Art of Fugue (HD)  
ラフマニノフ。今朝目ざめたときにかかってた。若い頃は1番とか2番が好きだったけど、3番もいいかも。
Rachmaninoff Piano Concerto No. 3, Argerich HQ COMPLETE
ラ・カンパネルラ。鐘の音からこんな音楽が生まれたのなら、それはほんとに素敵だ。
Nobuyuki Tsujii - La Campanella - BBC Proms 2013  辻井伸行さん プロムス2013 アンコール
冒頭はキーシンのほうが好き。
Evgeny Kissin - La Campanella (Liszt)  
さて、そろそろ準備しないと。

2016/05/03

しつこいけど

まだTim Harfordの動画を見ている。
29分頃からのpeer pressure(同調圧力っていうのね、、)に関する実験映像とそれに続くトークがおもしろい。


Ideas at the House: Tim Harford - Make More Mistakes (Festival of Dangerous Ideas 2012)



ごく個人的TED選 

ジムから帰り道、和菓子屋に寄る。かしわ餅はみそあんだねえ。
はからずも今日はTED鑑賞の日になってしまった。
引き続きTim Harford。
ティム・ハルフォード:試行、錯誤、そして全能感ゆえの固定観念
ぜひ最後の一言まで聞いてほしい。
ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」
報酬がかならずしもパフォーマンスを上げることにつながらない実証のいくつか。
ベンジャミン・ザンダーの「音楽と情熱」
トークの後で演奏を聞くと、ショパンが分かったような気持ちになれる。でもそこでやめてはいけない。これも最後の一言まで聞いてほしい。
Itay Talgam: Lead like the great conductors
指揮振りから学ぶマネジメント。というか、カルロス・クライバーとバーンスタインが最高。

play the unplayable piano

困ったことに遭遇するとご相談にあがる某先生は、最近わたしが何を言っても、だいじょうぶだいじょうぶ、としかお答えにならない。
いやあ、だいじょうぶじゃないからご相談にあがっているのですが…と心中つぶやいていたりした。
ツイッターのフォローしすぎでオーバーフロー気味なので、少し整理するか思ったところが、結局のところ深みにはまる。
@TED Talksとか、見始めると止まらないわけだけど、たまたま見たのがこの話だったのは僥倖としかいいようがない。


Tim Harford: How frustration can make us more creative
冒頭のツカミがキース・ジャレットの話でなければ聞き続けなかったかもしれない。
あのケルン・コンサートが、そんな形で生まれたなんて、とても素敵だ。
ぜひ聞いてみてほしい。
もしかしたら、2分34秒のあたりだけでも見た甲斐があるかもしれない。
もしくはキースのピアノだけでも。
Keith Jarrett - THE KÖLN CONCERT - complete


transcriptから引用:
You add randomness, early on in the process, you make crazy moves, you try stupid things that shouldn't work, and that will tend to make the problem-solving work better. And the reason for that is the trouble with the step-by-step process, the marginal gains, is they can walk you gradually down a dead end. And if you start with the randomness, that becomes less likely, and your problem-solving becomes more robust.


3人の友人と1人のstrangerで作業した場合と4人の友人で作業した場合では、前者の方がパフォーマンスが良いにも関わらず、作業後の感想は「やりにくかった」「出来も悪かった」、であり、後者は比較してパフォーマンスが悪いにも関わらず「楽しかった」「いい仕事をした」であったという逸話も興味深かった。
異質なものを受け入れることでパフォーマンスが上がることがあるということ。
にもかかわらず本人はその異物をありがたく思えないものだったりすること。
だからこそ、こんなの弾けるかい、って思えるようなピアノでも弾いてみることも必要だよねという話。


ふしぎだ。いつも、なにか漠然と解を求めて定まらないときには、思いもよらないところからそれが転がってきたりする。僥倖である。
探し続けること。

2016/05/02

おやつ

ジムの裏手に大戸屋があって、そこのチーズケーキが気に入ってしまった。
「魅惑のクリーム」に加えて、少量であるところがよい。
XXコーナーなぞで買ってしまうと、胃袋は満足するがカロリーが気になる。
(と言いつつ、しょっちゅう買う)
その1階上にカラオケがあるので、ついでに寄ってしまう。
カラオケをはじめたのは、その頃、声が小さすぎるとご指摘をいただいたせいである。このままどんどん声が細くなるとマズイかな、と。
したがって熱唱しないと意味がない。1曲あたりの消費カロリー10kcal超。
朝ドラの主題歌を毎日聞いていたらなんだか好きになってきて、ウタダを練習してみたりするけど、やっぱり難しい。
ウーロン茶を頼んだのにぜんぜん来る気配がなくて、1時間水も飲まずに歌い続けた。はぁ。

2016/05/01

情熱ね

ダンスのレッスンから帰ってきて、バッハでも聞こうかという気になった。
youtubeで適当にあたっていたら、Bach, Matthäus-Passionと書いてある。
一瞬、日本語訳はなんだっけ、と詰まる。
えーと。
マタイ、マタイと言えば…そうだよ、受難曲だよ。
へえ、passionて、情熱だけでなく、受難の意味もあるんだっけ。
そういうものだと以前に聞いたような、そうでもないような。
と思いながら検索していたら、同じことをもっときちんと調べた人たちがずいぶんいらっしゃる。
みんな、えらいね。
『英文解釈教室』の講義を終えて英文法ゼミ、というサイトの「意味がいっぱい(その4)」という投稿あたりが詳しくて面白かった。
まあ語源などというのには諸説あるものらしいから、複数の意味がありますで終わらせてももちろんよい。
が、自分なりのpassionの解釈は、よくも悪しくも何らかの事態が発生し、それを受け止めた(主に悪いことが多いことから、ここで受「難」の意味も出てくる)ときに発生した感情が情熱、と理解した。
passionの有力な語源はpathosだそうだが、接頭語 pas-, pat- はpassive, patient, pathos, patheticなどの単語に共有されており、外部からの作用を受けるところは共通しているから関連語と考えられる。
なにが言いたいか、だよね。
情熱なんてものは、ほうっておいて自発的に湧いてくるものではなくて、外部からの作用によるものなんだよな、という、ずいぶんあたりまえのことを、改めてこんなところで思ったりした日曜の夕方。