2016/08/07

茄子

昨日の夕方、地下鉄に乗ったら浴衣を着ている人が7人がけの椅子に4人もいて、見回すと車内の和装人口が異常に多い。
乗りかえ駅で、自分は埼玉方面にひと駅向かったのだけれど、そこで浴衣の群れは都心に向かうグループと反対に向かう人とに分かれた。花火は一か所ではないらしかった。
ダンスのレッスンに出る。いつも最後に2組に分かれて、ほかの人が踊っているのを見て勉強させてもらうんだけど、そのスタジオは4面のうち1.5面が窓になっている。見るともなしに目線が窓に向かったところで、花火が目に飛び込んできた。
きれい。
と思った瞬間、覚えた振り付けを三分の一ぐらい忘れた。
禅僧が長年の修行を続けてひどく空腹の中、おかゆを一口食べて美味しいと思った瞬間さとりが崩れたという話を聞いたことがあるけれど、今更ながら、あれは集中力の話なんだろう。
美しいとか美味しいとか好きとかいう感情は波みたいにいきなり襲ってきていろんなものをかっさらっていってしまうから手に負えない。
茄子が好きで、珍しく早く戻った今日の夕飯はとても珍しく自炊。豚バラ野菜炒めと蒸し茄子にして5本も食す。美味しい。これで今日覚えた振り付けもすっかり忘れてしまった。
まったく、ざまはない。でも、そんなことを感じながら細々と生息している自分がいまここに在ることを誰かに知っていてほしくて、拙文をネットの海に漂わせている。