2016/05/31

こわいこわい

最近のコインランドリーは便利で、ブラシ付きの洗濯槽にシューズをごろんと入れておくと勝手に洗剤を投入して洗ってくれる。
ランドリーに寄って整体に行き、帰りがけにまた寄ると、もう洗い終わってはいるんだけど、ここでもうひと手間かけて20分乾燥機にかけておくと乾くのが早い。幸い読みかけの文庫本もある。
営業時間10時半まで、と入口のガラス戸に書いてあったのは覚えていたが、もう一人乾燥機を回している人がいるし、本も終わりまであと10ページだったから、誰かが閉めにくるまで読んでいよう、と腰かけて読み続けていた。
10分ほど経っただろうか。
突如室内の電気が消えて、ういーんと回っていた乾燥機も止まった。
びっくり、どころの話ではない。
自分のどこにこんな敏捷性があったのかと思うぐらいの勢いで手提げと本を掴んで店を飛び出すと、若めの男女二人連れがそこに立っていて、すみません、と頭を下げた。
かろうじて乾燥機の中のお気に入りシューズを取り出し、いえいえ、もごもご、、とつぶやいて去る。
しばらく歩いたところで、一昨日買ったばかりの折りたたみ傘を机の上に忘れてきたことに気が付いた。
あの二人連れがまだいるかしら、と思って戻ってみたが、明かりは消えたままでガラス戸も開かなかった。
見ると「10時半を過ぎると、中からは出られますが、もう一度入ることはできません」と書いてある。
その言葉も、やっぱり、こわい。