2018/11/11

先生

8月末からレッスンに出させていただいている先生が、先生は続けてくださるんだけど舞台からは引退されるとのこと。最後に母校で踊りますとおっしゃるので、三鷹というか武蔵境というか、とにかくそのあたりまで出かける。
早めに着いて学内をふらふらする。チャペルや礼拝堂がある。芝生で子供が遊んでいる。住居棟みたいなところもあるから、学校関係者のお子さんだろうか。
自分はカトリックの女子高だったから、確かこの学校も推薦枠があった。こういう学校に来ていたら今頃こんなではなかったかもしれないな、と思ったりもする。今この年になってみれば、緑も多く静かで、学業又はその他の何かに没頭するにはいい場所だと思う。けれど、きっと、自分は若い頃にここにはいられなかっただろうなあ、という気もする。
学食で豚肉の味噌煮380円也をいただく。深めのお皿にてんこ盛り。ふつうこういうものは肉は3分の1分かそれ以下で野菜でごまかすものだけれど、ここのは、お皿の中に存在する主なものは豚肉。茄子が好きだから茄子から食べると後に残るのはほとんど豚肉。さすが学食。
前置きが長くなった。
先生のパフォーマンスを生で見るのはもちろん初めてだし、これで最後だそうだ。もっと早くお会いすればよかったなあとも思うけれど、最後に間に合ってよかった。
自分には一度見た振付を映像的に記憶する能力もないし、それを表現する言葉も持っていない。
ただ、あのとき舞台の上から、透きとおるように美しく、あたたかくてやさしい何かが、先生たちの身体から放たれ拡散していって、それをわたしは確かに受け取った。定かに線を結ばないながらもその残像が、今も心の中にまだ波打つように揺蕩っている。

たしか茂木先生が昔、ソクラテスと弟子の関係の話か何かで、先生というのは何を教えてくれるかよくわからない(事前に想定できない)けれども、なぜかしらそばにいたい人だ、というようなことを言われていて、そうそう、と手を打った。
すてきな先生に出会えてわたしはしあわせである。