2020/10/15

冒険

我が家の電子レンジが故障した、と思ったのは、同僚氏の家に赤子が誕生する前の話だから8月の中旬ぐらいだったと思う。冷蔵庫と一緒にリサイクルショップで購入した代物で、1万円もしなかったはずだけれど、オーブンもついていて不自由はなかった。それが温め始めて30秒もしないうちにプツッと電気が切れてしまう。

15年以上は使っているはずなので、寿命だろうと安易に考え、さて新調しようかと探し始めた。買い物は、時間潰しが目的でない限りは、先に時間を決めてしまって、時間内に決まらなければ出直すことにしている。比較的、割り切りの早い性格だと思う、というか、本来、優柔不断で面倒くさがりだから、出直す手間が嫌で、さっさと決めるように習慣付けしたわけである。

電子レンジなんて、もうこれきり買わないかもしれないのだから、悔いない買い物にしようと思ったところが、前述の習慣が崩壊して迷走し始めた。

買い物好きのくだんの同僚氏に御宅のレンジはどこのですかと聞いたらこれが色々できる良いやつだった。ついでに8月末は決算セールだから月末までに買ったほうがよろしいでしょうとアドバイスをいただく。

なるほど、と他にも何人かに「御宅のレンジ」インタビューの上、温めムラの少ない赤外線センサー付きのスチームオーブンレンジ、と大枠の基準が決まったのだけれど、今度は冷蔵庫に乗る適切なサイズが見つからない。レンジ本体の寸法ではなく、レンジ下の脚の幅が問題なのだが、そこまで情報が載っているものは少ない。やっぱり店で見るしかないか、と思った頃にはすでに同僚氏の家には赤子誕生なさっていた。え、まだ買ってなかったんですかと呆れられつつ9月末の決算セールを狙うことにした。

これを逃したら年末までチャンスはないぞと意を決して某店に行ったのだけれども、三密を避けようとか皆さんお忘れじゃないですかという勢いのえらい混雑で。人混みに嫌気がさしてスタコラ退散することになる。

コンビニのレンジをお借りして使用頻度を下げてみたり、4分温めのところ1分を4回に分けたりと色々やっているうちに、レンジ君は復活の兆しを見せ始めた。時間をレンジにお任せして温める機能は使えないが、手動で時間を指定して温める機能なら落ちにくいぞ、と気づき、さらに落ちる頻度が高いのはポットで湯沸かししている間であるという気づきを得た。そうこうして得た知見?をもとにご機嫌を取ってあげると、今や何事もなくレンジ君は働いてくれるようになった。なんだったんでしょうかね。もしかして夏バテだったんですか、と四角く黒い箱を見つめて問いかけてみたりする。

あまり関係ないけど、自粛で「冒険」を控えていたのだけれども、なんだか無性に景色を変えたくなったので、安全基地を離れて、少しばかり気持ちの冒険に出てみることにした。