2019/09/23

はじめての本番

いよいよ発表会当日。
リハは夕方だし本番は夜だから、日中動かずにいきなり臨むのはこころもとない、ということで、先週お熱でダウンされていたという気の毒な先生のお顔を見にはじめてのお店に行く。ゴルフができるのはともかく、スカッシュかなんかの練習場まであるえらくだだっ広くてきれいな施設である。偶然だとは思うけれども、レッスンはたぶんここ数カ月以内にやったことのある振付である。こんなに最近やったのにこんなに覚えてないなんて申し訳ない、と思いつつ次第に記憶がよみがえってくる。本番前のこの状態で、新振りを覚えるよりありがたいな、と本人的にはたいそう気持ちよく踊らせてもらう。

リハの時から本番はばちっとメイクをしてくるように、とかなりしつこくおっしゃっていて、先生のおっしゃることで、できることなど限られているから、その数少ないできることぐらいはご要望どおりにしてさしあげようと思い、ドラッグストアで若干練習の上、いくつか化粧品を購入し本人的にはばちっとメイクをしてリハの待ち合わせ場所に行く。わたしだけかと思いきや、このために化粧品を買ったという先輩が何人かいらっしゃる。みな思いはひとつである。先輩と顔を合わせると「化粧しないの?」とひとこと。「いえ、あの、これでもしたつもりなんですけど」「してあげようか?」「これ以上はごかんべんを」というようなやりとりをしつつ控室に入る。先生がいらしてぱしゃぱしゃとカメラマンのごとく写真撮影されると盛りあがって一時みな緊張を忘れる。
さて、本番は一瞬で終わる。
帰路、いままであったもろもろを思い出してふと涙しそうになる。
明日から何をどうしていいのか今はよく分からないくらい、この3ヵ月しあわせだったことに今更ながら気付くのである。
なにごとも終わりがくる。でもここで止まってはいけない。
ここからはじまる。