自分の場合、読後感はだいたい引用になる。ごく主観的、我田引水的、順不同な引用。
「でもまったく正しいこととか、まったく正しくないことなんて、果たしてこの世界に存在するものだろうか?我々の生きているこの世界では、雨は三十パーセント降ったり、七十パーセント降ったりする。たぶん真実だって同じようなものだろう。三十パーセント真実であったり、七十パーセント真実であったりする。その点カラスは楽でいい。カラスたちにとっては雨は降っているか降っていないか、そのどちらかだ。パーセンテージなんてものが彼らの頭をよぎることはない」
登場人物の女の子が自分に似た名前だからかもしれない。その子はある絵を見て思う。
「この絵はわたしをどこか別のところにつれていこうとしている、正しいとか正しくないとか、そういうキジュンとは違うところに」
そういえばわたしも最近そんなことを思ったことがあった、かもしれない。そんな彼女に騎士団長は言う。
「よく耳を澄ませ、よく目をこらし、心をなるたけ鋭くしておく。それしか道はあらない。そしてそのときが来れば、諸君は知るはずだ。おお、今がまさにそのときなのだ、と。」
「この世界に確かなことなんて何ひとつないかもしれない」
「でも少なくとも何かを信じることはできる」