2009/09/21

植物性ですね

5連休の初日と2日目は仕事絡みのセミナーで座っていた。
聞いていた、と書きたいところだが、哀しいことに、座っていた、が正しい。
どうやら病院の臨床工学技師さんなんかが本来の対象者らしく、法規関連以外は殆ど分からなかった。
医療機器は、医薬に比べると文系にもまだ参入余地のある職種があるが、やはり品質、薬事、治験あたりが限界で、安全管理になると電気回路なんかが分かる頭がないと難しそうである。(いや、もちろんマーケや営業という手もあるが、生憎あまり興味がない)
セミナーは竹橋だった。よっぽど、昼休みに抜け出してゴーギャンをもう一度見ようかと思ったが、自腹で払った4日で20000円(後半は来週の土日)のおかげで思いとどまった。

終了後、竹橋から丸の内まで歩いて丸善に行く。休日の丸の内はひっそりとして人影もない。堀端をときどきランナーが駆けていく。
『バガボンド』井上氏の書棚にあったらしい『死と身体』、それから、これは立読みをしていて見つけた『糖尿病でもおいしく食べる』(糖尿病でない人でも一読の価値があるカーボカウントの初心者向け解説本、1Q84を引用しているあたり親しみが湧く)『つぎはぎだらけの脳と心』を購入。

セミナーというのは聞いてるだけでストレスになるのか、そういえば、昨日も帰りに高田馬場の書店に寄ったのだった。北村薫氏の新刊を買おうと思ったが、コワイ話だというのでやめにして、『名短編ここにあり』と続編を仕入れた。あとは河合隼雄『生と死の接点』、誰か忘れたが作家の「熱があるときに氷をしゃぶりたいように本が読みたいときに、」とかいうポップの惹き文句が気に入って、イアン・マキューアン『土曜日』。
『名短編…』の冒頭に置かれている半村良「となりの宇宙人」は、艶っぽい描写がそれほど好みではなかったが、緑色の、ふにゃふにゃとした宇宙人たる「宙さん」が箸を持って豆腐を食べる場面が妙に良かった。
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「スプーンを出しましょうか」
「いや、いいんです、お箸を持てるように稽古します」
「よし、その調子だ。どう、うまいかい」
宇宙人は冷奴をひとくち口に入れて首をかしげている。
「どうだい、食えるか」
「植物性ですね」
「豆腐だよ」
「おいしいです」
「そうかそうか、たんとおあがり」
(北村薫/宮部みゆき編『名短編、ここにあり』収載 半村良「となりの宇宙人」より引用)

最近、野菜中心の食事をしているせいか、立ちくらみは昔からだが、眩暈もする。体重も、殆ど標準体重だれど、思ったより減っている。たぶん、ジョギングでエネルギーを使っているせいだろう。
カロリー管理だけでは不調をきたしそうなので、カーボカウントを導入することにした。
そういうわけで今日の昼食は、久しぶりの豚しゃぶ。
食べたあとに「いのちの食べかた」の一場面を思い出したけれど、でも、やっぱりお肉は美味しかった。